イボ痔、日帰り手術で治療
イボ痔とは
痔とは肛門にできる疾患の総称であり、痔核、痔ろうなどがあります。中でも痔核は、最もポピュラーな痔で、肛門の血の流れが悪くなり、血管がはれてこぶ状になる痔です。形がイボに似ているところから俗に「イボ痔」とも呼ばれていますがイボではなく膨れた血管です。
肛門の内側にできたものを「内痔核」、外側にできたものを「外痔核」といいます。
内痔核
内痔核のおもな症状は出血と脱肛です。
排便時の出血は初期からみられることの多い症状ですが、脱肛の程度は様々で以下の4段階に分類されます。
1度：痔はあるが脱出はしない
2度：排便時に肛門から痔が脱出するが、排便が終わると自然に戻る。
3度：排便時に肛門から痔が脱出するが、自分で戻さないと戻らない。
4度：常に肛門から痔が脱出していて戻すことができない。
このうち日帰り手術の適応となるのはおもに2度と3度の痔核です。
1度は出血が軽度なら投薬治療だけでも改善することがあります。
2度、3度は日帰り手術の良い適応です。
4度は投薬で腫れをひかせてからの手術になりますが、術後数日間の入院が必要となることもあります。
外痔核
外痔核は元々肛門の外側にあるため、脱肛することはなく、無症状のことが多いですが、たまに強い痛みが出現することがあります。これは血栓性外痔核といって肛門の血管の中に血栓ができるためです。
以前は、血栓を摘出する手術が行われていましたが、最近では自然に治ることが多いことがわかり、手術は不要と考えられています。
また、一般の方が、イボ痔だと思っているものの中に痔ではないものもよくみられます。その代表的なものが肛門皮垂（ひすい）です。
これは出産などでできた外痔核がなおったあとに皮膚のたるみが残ったものが多く、治療の必要のないものです。
内痔核の手術
当院では内痔核に対して2つの治療法を行っています。
- ジオン（ALTA）注入療法
- 結さつ切除術
内痔核に対する
ジオン（ALTA）注入療法について
（当日または一泊退院）
ジオン（ALTA）注入療法は、ジオン（ALTA）という薬を内痔核へ直接注射いたします。痔を切除することなく、硬化退縮させることにより脱肛と出血を改善させます。
結さつ切除術と比較して、術後の痛みや腫れ、出血がほとんどないので日帰り手術に適した治療法です。
痔核と外痔核を合併しているものや4度の内痔核はジオン注入療法ではなく結さつ切除術が選択されることやその両者を併用することも多く、そのようなケースでは2泊以上の入院を要することもあります。
当院の痛みの少ないジオン療法
ジオン（ALTA）注入療法は直接痔核を切除する結さつ切除術に比べて明らかに術後疼痛が軽減されます。
当院でのジオン（ALTA）注入療法は日帰り手術センターを利用して行っており、当日および翌日退院が選択いただけます。
当院では麻酔科医により患者さんが眠った状態で手術を受けていただくことができます。
ジオン（ALTA）を正確に（4点注射法）注射するには専門的な技術を要しますので、ジオンによる四段階注射法講習会を受けた経験豊富な医師が施行しています。
当院の痛みの少ないジオン療法
ジオン療法 四段階注射法
ジオン療法の短所 長所
長所 ・痛みが少ない ・手術翌日には効果を実感でき、仕事への復帰も可能
短所 ・再発することがある ・術後直腸潰瘍形成による遅発生出血
ジオン療法（イボ痔）
希望の方に朗報！！
毎日ジオン療法実施医師の診察をお受けいただけます。
予約センター（06-6585-2729）にてご予約ください。
イボ痔に対する
結紮切除手術
（当日または一泊退院）
内痔核の中でも、ジオン療法により十分な効果が得られないもの、飛び出したイボ痔が指で押し込まなければ戻らない状態以上のもの、出血、痛みが強いものになると結紮切除手術の対象になります。
ジオン療法も並用しています
ジオン療法は、内痔核治療法研究会が主催する講習会に参加し、認定証を受けた医師（当院には3名）により安全に施行されています。
多根総合病院 日帰り手術センター
Tel: 06-6585-3054（直通）
担当医師表
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 午 前 | 小川（稔） | 小川（淳） | 小川（淳） | 小川（淳） | 小川（稔） | - |
外科外来は2階です。
よくあるご質問
イボ痔の手術はどんな方法ですか？術後の痛みが心配です
いわゆる「イボ痔」は痔核のことが多く、痔核に対する当院での手術はジオン（ALTA）注入療法と結さつ切除術を行っています。ジオン（ALTA）注入療法はジオン（ALTA）を痔核に注入する約15分程度の手術で、術後の痛みは非常に軽度であり、当日または翌日にはほとんどの場合痛みは消失します。
ただ、全ての痔核が治癒できるわけではなく、痔核のタイプ、程度によっては結さつ切除術が必要なこともあります。
結さつ切除術は、痔核の付け根を結紮（けっさつ）し、切除します。 手術時間は30分から1時間程度です。
ジオン（ALTA）注入療法よりも根治性が高いのですが、術後の痛みや腫れが強いことがあり、ときに数日の入院を要することもあります。
手術の麻酔はどんな方法ですか？
ジオン（ALTA）注入療法の場合は、静脈麻酔（点滴）で眠っていただいたうえで肛門周囲に局所麻酔を行い、手術を施行します。
結さつ切除術を行う場合は、腰椎麻酔によって下半身だけ麻酔をかけて手術します。腰椎麻酔は麻酔が5-6時間持続するので必ず1泊の入院が必要になります。いずれの手術も当院では麻酔専門医が麻酔を行っております。
手術のあとはいつから仕事にいけるでしょうか？
ジオン（ALTA）注入療法の場合は翌日からの仕事復帰が大半の方で可能です。結さつ切除の場合は2～3日は安静が必要とされています。
また、痛みが強い場合は仕事の復帰までは1-2週間かかる場合もあります。
