定位放射線照射(Stereotactic Irradiation:STI)治療とは、病巣・腫瘍に対し多方向から放射線を当て、狙った病巣に放射線を集中させる治療方法です。
今までの放射線治療に比較し、周囲の正常組織に当たる放射線量を出来る限り減少させることが可能となっております。 当院の定位放射線治療では、治療装置や患者さんを固定する精度をミリ単位で管理可能となっておりますので精度の高い治療を提供できます。
多根総合病院での中枢神経系・脊椎への定位放射線治療は、診療報酬上の条件に則り適応部位への保険適応を行なっております。
治療にかかる費用のご心配があると不安になられ治療を諦めてしまう方も居られます。まずはご相談いただき治療に付いての不安を少しでも解決してください。 ご不明な点、ご心配のことはお気軽にスタッフにご相談ください。
当院では原発性・転移性脳腫瘍に対して「ノバリス-Tx」を用いた定位照射を行っております。
定位照射は頭部専用マスクを用いて固定を行い(フレームレス)、赤外線位置照合システム、治療寝台の自動補正機能を用いて、ピン固定と同様のミリ単位の正確さで治療可能です(図1)。
定位照射は、SRS(1回照射)もしくはSRT(分割照射)ともに対応可能です。
なお、複雑な形状の病巣に関しては新しい照射方法であるVMAT(回転型IMRT)の技術を用いて、より病巣の形状に即した線量分布での照射を可能としました。
また、良性脳腫瘍などへの定位照射においては、脳神経などの重要臓器の機能温存を期し、通常分割照射での定位照射(Conventional fractionated SRT)を積極的に施行しています(図2)。
照射にかかる時間は従来の定位照射と比べて非常に短時間で行なうことができ、SRS(1回照射)もしくはSRT(分割照射)ともに1回の照射でかかる時間は約15分程度です。
『SIB(Simultaneous Integrated Boost:標的体積内同時ブースト)-IMRT(Intensity-modulated Radiotherapy:強度変調放射線治療)』
転移性脳腫瘍に対する照射については、定位照射のみを行う場合と全脳照射を行う場合がありますが、 数個以内の脳転移症例については両者を同時に行う治療も可能です。
VMAT(回転型IMRT)の技術を用いて、脳転移部にのみ定位照射と同等の治療効果が得られる高線量照射を行い、 正常脳に関しては通常の全脳照射と同等の予防線量の照射が行われます(図3)。また、全脳照射を行う場合においても、 認知能力を温存する目的で、海馬を外した照射にも対応しています。
脊椎・脊髄腫瘍への照射については、定位照射およびIMRTで対応しています。
どちらの方法とも正常組織(正常な脊髄)への線量を抑えて、腫瘍部分に線量を集中させることを目的としています。
IMRTに関しては他病巣のない限局した病変に関しては保険治療で行っておりますが、 それ以外のIMRTや保険診療適応とならない定位照射については自由診療*による対応となります。
(*自由診療費用に関しては、治療センタースタッフまでお問い合わせください。)
なお、傍脊髄腫瘍に対するIMRTによる脊髄線量を低減した病巣部への高線量照射ならびに放射線治療後の再照射(図4)などにも対応しています。
当院脳神経外科または放射線治療科へ御紹介を頂いてから、照射開始までの待機期間を可能な限り短くするように努めています。
入院が必要とされる場合は、当院の脳神経外科への御入院となります。
適応の詳細や、照射開始時期につきましてはお気軽にお問い合わせください。