Radiotherapy│ 放射線治療装置について
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放射線治療装置について

高精度放射線治療装置 ノバリス-Tx

装置に関するQ&A Q1Q2参照

高精度放射線治療装置ノバリス-Txは、強度変調放射線治療(IMRTVMAT)をはじめ、脳定位放射線治療、体幹部(肺・肝臓など)定位放射線治療だけでなく、従来行われてきた通常(緩和)照射まで幅広く対応可能な放射線治療装置です。
高精度な患者位置決めシステムや、次の説明で示すように高精細なビーム形成により、病変に対してピンポイントな治療が可能です。

業界最薄の2.5mmマルチリーフコリメータ(MLC)

ノバリス-Txのマルチリーフコリメータ(MLC)とは、ヘッドに装備されている世界最薄(2.5mm)幅の放射線遮蔽金属板であり、それぞれが独立駆動します。これらが、病巣(腫瘍)の形状に一致した照射野を形成することで、病変に対して高精細なビームで、ピンポイント治療が行えます。例えば、下図に示すように複雑な腫瘍形状でも、隙間なく最適な照射範囲の設定をすることが可能となります。また、照射と同時に各々のMLCが複雑に動く照射技術(*IMRT)では、正常組織の線量を低減しながら腫瘍に対して十分な線量を照射することができます。

一般的なマルチリーフコリメータ
10mmまたは5mm
ノバリス-Tx マルチリーフコリメータ
2.5mm
一般的なマルチリーフコリメータ ノバリス-Tx マルチリーフコリメータ
●腫瘍の周りに余分な隙間ができる(赤い範囲) ●腫瘍の形状に対してより正確な形成が可能
強度変調放射線治療(Intensity-Modulated RadioTherapy: IMRT)

専門用語一覧1参照

腫瘍形状が不整形で正常臓器と隣接して位置関係が複雑な場合、従来の照射方法では(下図左)腫瘍周囲の正常臓器にも腫瘍と同じ程度の高線量が照射されるため、腫瘍に対して十分な線量を投与しながら周辺正常臓器の有害事象(副作用)を抑えることが困難でした。しかし、強度変調放射線治療(IMRT)は、線量率が変化しながらMLCが動くことでビーム強度を変調させ、腫瘍に対して放射線を集中することが可能です。そのため、周囲の正常臓器を耐容線量以下にすることができる技術です(下図右)。これにより、今までは周囲の正常臓器の耐容線量が腫瘍よりも低いため、放射線治療の適応外であった症例に対しても、治療を行うことが可能となりました。 当院はIMRT技術の中でも、よりスピーディーに行える回転型IMRT:Volumetric Modulated Arc Therapy:VMATを採用しています。

例)前立腺がん症例:照射方法の違いにおける線量分布の比較(赤い範囲が強く放射線が照射される)

従来行われている通常放射線治療 強度変調放射線治療(IMRT)
従来行われている通常放射線治療 強度変調放射線治療(IMRT)
  • 直腸が高線量(赤色:処方線量)範囲に入り込んでいる直腸有害事象(副作用)の発生確率が上がる。
  • 前立腺の形状に沿った分布を形成できる
  • 高線量範囲(赤色:処方線量)に入り込む直腸体積を可能な限り少なくできる
VMAT:Volumetric Modulated Arc Therapy(回転型IMRT)(Rapid ArcR)

専門用語一覧2参照

回転しながらIMRTを行うことができるVMAT(Rapid Arc®)は、照射しながら線量率や装置の回転速度も変調することができるため、従来のIMRTのように装置を固定した状態で多方向から照射する場合と比較して、短時間で腫瘍に対して線量を均一に集中させ、隣接する正常臓器の線量を下げることができる、新しい治療方法です。

脳定位放射線治療専用マスクシステム

装置に関するQ&AQ14参照専門用語一覧4参照

従来、ガンマナイフで行われてきた脳定位照射は、治療期間を終えるまで頭蓋骨を専用ピンで固定するため、同一部位に対して数日間にわたる分割照射ができませんが、当院で採用している脱着可能な専用マスクシステムは、頭部形状に合わせて作成するため、苦痛なく分割照射が可能です。1回の照射中に、マスクを装着して頭部の固定をすることで、ピン固定のような侵襲(しんしゅう)的な固定方法に比べて体に負担が少なく、ガンマナイフではできない大きな腫瘍に対しても苦痛なく分割照射が可能です。

固定方法の違い

従来のピン固定法 専用マスクシステム
従来行われている通常放射線治療 強度変調放射線治療(IMRT)
  • 装着してから治療計画~治療開始~終了までの数時間装着(侵襲的な固定方法)
  • 先のとがった4つのピンで頭蓋骨を固定
  • 治療が終わるまでフレームを付けた状態が続く
  • 高い照射位置精度
  • 治療中15分間~20分の装着時間(非侵襲的な固定方法)
  • 直ぐに取り外すことが可能
  • 分割照射が可能
  • IGRTとの併用で高い照射位置精度

*IGRT:画像誘導放射線治療または装置に関するQ&AQ18Q19参照

体幹部固定システム

装置に関するQ&AQ11Q12Q13参照

肺、肝臓、骨盤、前立腺などの体幹部に対して、定位照射やIMRTVMAT)を行う場合、正確な照射位置と固定精度が必要なため、体型に合わせた固定具を作成します(下図)。さらに、呼吸による臓器移動の影響を強く受ける部位(肺や肝臓)に対しては、固定具に加えて、呼吸抑制システム(下図右)を用いることで、呼吸による動きを低減させた治療が可能となります。

画像誘導放射線治療(Image-Guided Radiation Therapy: IGRT)

装置に関するQ&AQ18Q19参照

画像誘導放射線治療(IGRT)は、照射直前に放射線治療室や装置に搭載されたX線またはCT装置で撮影した画像から、治療寝台を数ミリ単位で調整することで照射位置精度を担保します。これは主に高精度放射線治療(IMRT、定位放射線治療など)を行う場合に併用します。当院は、より精度の高い*6軸ロボティックカウチ(治療寝台)を採用しています。

6軸ロボティックカウチ

装置に関するQ&AQ18参照

6軸ロボティックカウチは、IGRTシステムにて治療直前や治療中に取得したX線画像やCT画像から照射位置のずれを検出し、治療寝台の位置を動かすことで精密な位置合わせを行うことが可能です。
前述のExacTrac System(上記上図)と組み合わせることで、頭足、腹背、左右方向を0.1mm、それぞれの3方向の回転成分を0.1°単位で補正することにより、非常に高精度な照射位置の再現が可能です。

治療装置の精度管理(品質保証・管理)

装置に関するQ&AQ3参照

放射線治療における質と安全を保証し、皆様に安心して治療を受けていただけるよう線量項目、幾何学的項目、IGRTIMRTの品質管理プログラムに従い、放射線治療装置の正常運転やその性能の恒常性を定期的に評価・調整し、装置の精度管理をしています。*精度管理は診療放射線技師以外に放射線治療品質管理士、医学物理士、放射線治療専門技師などの専門資格を有するスタッフによってダブルチェック体制をとり、複数名での管理業務を行っています。

- 各種放射線(X線、電子線)の出力線量の測定 -
各種放射線(X線、電子線)の出力線量の測定最適な治療計画が立てられていても、放射線治療装置から照射される線量が正しくなければ安全な治療は行えません。当院では、定期的にX線、電子線の出力線量を計測し、必要に応じて調整をすることで安全な治療を提供しています。
- 空間的座標と画像中心座標の管理(レーザー指示精度とIGRTの精度)-
空間的座標と画像中心座標の管理(レーザー指示精度とIGRTの精度) 照射位置合わせに使用するレーザー指示器が正しい位置を指示しているか、また、治療装置、寝台の回転中心が常に正しい位置になるよう管理しています。さらに、IGRTに用いる機器の位置が、正しい位置にあるか品質管理項目に従って精度管理しています。

- 治療計画の検証 -

立案された治療計画は、様々な高精度測定機器を用いて治療開始される前に必ず検証します。治療装置がコンピュータで作成された治療計画を正確に再現できているのか解析し、確認することで安全な放射線治療を提供しています。

IMRT治療計画検証システム
(Compass MatriXX)
国家基準を満たした線量測定機器
IMRT治療計画検証システム 国家基準を満たした線量測定機器
  • IMRTプラン検証で実績豊富なMatriXXを使用
  • 2次元および3次元にて線量分布の評価が可能
  • 治療計画CT画像上での線量誤差の確認
  • 人体を模した測定器を使用
  • 正しく放射線が投与されるかを実測にて検証
  • 任意のポイントの線量が測定可能

高精度放射線治療センター

病院・施設内における写真(動画)撮影及び録音について