装置および照射に関する Q&A | 放射線治療センター

装置および照射に関する Q&A

Q1.放射線治療装置NovalisTx(ノバリスTx)とはどのような装置ですか?

→ NovalisTxは、アメリカのVarian Medical Systems社と、ドイツのBrain Lab社のコラボレーションによって開発された「高精度放射線治療統合システム」の名称です。2007年に欧米で発売され、日本では2008年から導入が開始されています。

Q2. 全国でどれほどの施設が導入している装置なのですか?

→ 厚生労働省が実施した「医療施設動態調査」によりますと、平成27年6月現在、病院の数(一般診療所、歯科診療所を除く)は約8,000施設といわれています。そのうち、放射線治療装置を導入している病院は約780施設、NovalisTxを導入している病院は約40施設あり、多くは大学病院で導入されています。

医療施設動態調査

Q3. 高精度放射線治療装置の精度はどのように管理しているのですか?

→ 当院では毎日と毎週、点検項目を分けて治療装置の精度を行っています。その内容は、治療で使用される放射線のビーム中心精度や、放射線の出力が安定性、位置照合に用いる画像中心と機械的中心等の項目について週替わりで点検しています。毎朝の装置立ち上げ時は、細分化された項目をチェックしながら装置の状態を確かめ、精度良く安全に治療が行えるようにしています。
*当院では診療放射線技師以外に、放射線治療品質管理士、医学物理士、放射線治療専門技師などの専門資格を有するスタッフによってダブルチェック体制をとり、複数名での管理業務を行っています。

Q4. 体に線を描くのはなぜですか?

→ 仰向けに寝た状態で体のねじれや皮膚の引きつり、体の軸が真っ直ぐであるかなどを確認しながら、照射位置の補正をするために、体の両側と前面に線を描いています。

Q5. 何を基準に線を描いているのですか?

→ 身体に描く基準線は、レーザー投光器から体の皮膚面に投光されるレーザーを使用します。
CTシミュレーション室と照射室の壁や天井にはそれぞれレーザー投光器が設置されており、担当技師はレーザー投光器から投影されるレーザー光の上から線を描いています。

▼レーザー投光器
レーザー投光器
▼レーザー光に沿って線を描いています
レーザー投光器
▼実際に描いている線とレーザー光の様子
レーザー投光器

Q6. 体を洗うときに線が消えてしまわないのでしょうか?

→ 体に描いた線は、「体を洗う」以外にも「衣服の擦れ」「汗」が原因で消失する場合があります。線が薄くても残っていれば描き足すことは可能ですが、完全に消えてしまうとCTシミュレーションによる確認作業が必要になる場合があり、当日の治療に時間がかかってしまいます。
線が描かれている部分は、お風呂などでは強くこすらず、石鹸をしっかりと泡立てて軽くなでるようにしてください。また、タオルなどでふくときも抑えるようにして水分を拭き取り、線が完全に消失してしまうことがないように、注意してください。 線が消えやすい方には消えにくくなるような処置を施しますので、ご安心ください。

Q7. 線が薄くなってきたとき、家にある油性ペンで描き足しても大丈夫ですか?

→ 体に描いた線は、CTシミュレーション室や照射室に設置されたレーザー投光器から投影されるレーザー光を基準に描いています。このレーザー光を利用せずに線を描いてしまうと、基準線の正確性が欠け、精度の高い放射線治療が出来なくなります。そのため、体に描いた線は自分で絶対に描き足さないようにしてください。
治療開始までに線が消えそうになった場合は、線が完全に消失してしまう前に放射線治療センターまでご連絡ください。

Q8. 放射線治療中や治療計画用CTを撮影しているときに、息を止めなくても大丈夫ですか?

→ 一般的な検査(診断目的)のためにCTを撮影する場合は、呼吸による画像のぶれを極力抑えるため「息止め」が必要となります。しかし、治療前や放射線治療中に撮影するCTではこの「息止め」を必要としません。
これは、息を止める動作によって照射位置がずれる可能性があることと、治療前に撮影した治療計画用CTで呼吸性移動を含めた画像を取得し、その画像をもとに治療計画を立てているためです。

Q9. 放射線治療中や治療計画用CTを撮影中に咳が出そうになった場合、どうすればいいですか?

→ 咳がでそうな場合は、咳が出る前にその場で寝たまま手を上げるか、声を出してお知らせください。担当技師はモニターやマイクで常に状況を確認していますので、照射を一旦止めることが可能です。ご安心ください。

Q10. 無意識に動いてしまうかもしれなくて心配です。

照射直前に位置が決まれば、故意的に動くことは避けてください。
理想的には、「治療中全く動かないこと」ですが人体は呼吸、腸の動きなど生理的な要因で動くような位置誤差や、筋肉の弛緩によって無意識に体が動いてしまう場合があります。そのため、必要に応じて固定具を作成する場合があります。また、無意識に生じる多少の位置ずれでも、治療効果に支障が出ないようシミュレーションし、あらかじめ考慮して治療計画を立てています。

Q11. 固定具は治療が始まる前に、毎回作成するのですか?

→ 各固定具は、治療期間が終了するまで使い続けます。途中で形を崩して作り直すことはありません。毎日同じ固定具を使用して同じ体位を再現することによって、放射線治療中の位置精度を保つことができます。

Q12. 2種類ある体幹部の固定具の違いはなんですか?

→ 肺や肝臓のように呼吸の影響で動く部位を治療する際には、下右図の固定具を使用します。この固定具では体の上からビニール(青矢印)を被せ、専用のホース(赤矢印)で体とビニールの間の空気を吸引することで腹部を圧迫し、呼吸による影響や体動を抑制しつつ体の固定精度を上げることができます。
呼吸の影響を受けにくい部位(骨盤内臓器など)の治療では、主に左の固定具を使用します。

▼骨盤内臓器などの治療で使用される固定具
レーザー投光器
▼肺や肝臓などの治療で使用される固定具
レーザー投光器

Q13. 固定具に関して、注意したほうがいいことなどはありますか?

→ 固定具に寝起き時に写真(赤矢印)で示した部分の形が崩れてしまうと固定精度の低下に繋がります。固定具の端にはなるべく体重をかけないよう、注意して頂きますようお願いします。

固定具

Q14. 脳定位照射の固定は、ガンマナイフの場合頭蓋骨をピンで固定すると聞いたことがありますが、NovalisTxでは専用マスクシステムだけで照射位置精度が保てるのですか?

→ 脳定位照射を行う際、当院では3枚一組の専用マスクを使用します。1枚目のマスクで後頭部の形を成型し、2枚目のマスクで額・鼻・上下顎を重点的に固定した後、3枚目のマスクで頭部全体をしっかりと押さえます。
画像誘導放射線治療(IGRT)と組み合わせることで、脳定位照射の照射位置精度を1.0mm以下にすることが可能です。専用マスクは下図のような構成になっています。

▼1枚目:後頭部の形を成型します
脳定位照射の固定
▼2枚目:額(青点線)、鼻(黄点線)、上下のあご(赤点線)を固定します
脳定位照射の固定
▼3枚目:頭部全体を固定します
脳定位照射の固定

Q15. 色々な方向から放射線を当てると聞いたのですが、治療寝台や固定具は障害にならないのですか?

→ 治療寝台や固定具の影響を考慮した上で治療計画を立てているので、どうぞご安心ください。

Q16. 治療の流れを教えてください。

→ 治療室への入室から照射までの流れを簡単に説明します。
  1. 治療室の準備ができ次第、看護師または技師が治療室内へご案内します。
  2. 治療室内の更衣スペースで脱衣後、治療寝台へと移動します。
       *(治療部位によっては脱衣を要しない場合があります)
  3. 治療寝台に寝た後、治療計画CT時の体位を再現するために技師が皮膚マークで調整を行います。
  4. 担当技師が治療室から退出後、放射線の照射が始まります。
治療の際、照射する位置が正しいかどうか確認するために、X線画像を撮影することがあります。治療に要する時間は毎回一定ではないことをあらかじめご了承ください。

Q17. いつ治療をしているのかが分かりません。

→ 放射線治療は、症例によって最適な方向から照射するように計画されます。照射部位や症例によって照射する方向・照射時間などは変化しますので、詳しくは技師にお尋ねください。

≪照射直前に位置確認を行うIGRTの場合の例をお示しします≫
  1. 担当技師が部屋を離れた後、治療装置が180°回転します。
     →照射位置確認のCT撮影のため、装置をスタートポジションへ移動させています。
  2. 続いて、治療装置の横から撮影する機械が現れ、360°回転します。
     →回転しながらCT撮影をしています。
  3. 撮影終了後、撮影装置が治療装置の横に戻ります。
これらの工程が全て終了した後、必要に応じて位置の補正をした後、治療が始まります。

Q18. IGRTの6軸の位置補正ってどういう意味ですか?

→ 寝台の「縦、横、高さ」それぞれの3軸に「縦軸の回転、横軸の回転、高さ軸の回転」を加えて6軸といいます。一般的に多くの治療装置は「縦、横、高さ」だけの位置補正を行っていますので、照射位置誤差の原因が身体の回転の場合は補正できませんが、NovalisTxでは下の図のように6軸ロボティックカウチを利用して、身体の回転による位置誤差を補正しています。

▼矢印がそれぞれ体の「軸」を表しています
Q18.	IGRTの6軸の位置補正
▼頭側の高さを上げたり下げたりします
Q18.	IGRTの6軸の位置補正
▼体を左右に回転させます
Q18.	IGRTの6軸の位置補正
▼時計回り、反時計回りに動かします
Q18.	IGRTの6軸の位置補正

Q19. ExacTrac SystemとConeBeam CTの違いを教えてください。

→ 主な違いは下表に示した通りです。

ExacTrac System ConeBeam CT(CBCT)
撮影時間 短い 長い
画像の照合方法 2次元画像から3次元的に照合 3次元画像による照合
基準とする臓器 骨、臓器、腫瘍など
▼3次元的な照合 : 人の体を3方向から輪切りにしたような画像を使用して照合します
Q18.	IGRTの6軸の位置補正
▼2次元画像を用いた3次元的な照合(照合前)
Q18.	IGRTの6軸の位置補正
橙色(治療計画用CT時に撮影した画像)と青色(治療中に撮影した画像)を一致させるようコンピューターが計算し、位置ずれ量を算出します。
▼2次元画像を用いた3次元的な照合(照合後)
Q18.	IGRTの6軸の位置補正
結果、照合された画像がこちらです。

Q20. 固定具の上で何度も腰や背中を上げるのはなぜですか?

→ 固定具に仰向けで寝た際、体のねじれや皮膚の引きつりが発生する場合があります。これらを解消するために、背中や腰を上げるよう何度かお願いをすることがありますので、ご協力よろしくお願いします。

Q21. 治療装置からは常に放射線が出ているのですか?

治療装置から常に放射線が出ているわけではありません。
放射線は「実際に放射線治療を行っている時」または「位置確認をする画像を撮影する時」に発生しています。
また、治療中には装置から「ジー」という音が発生します。

Q22. 放射線がどこから出ているのですか?

→ 放射線は治療装置の赤線部分(ヘッド部)で発生し、右下図の窓を通って装置から出てきます。このヘッド部が体の周りを回ることで、あらゆる角度から病巣部位に放射線を当てることができます。

CTの違いを教えてください

Q23. 紫色の線と黒色の線の違いはなんですか?

→ 紫色の線は「体のずれを修整するために必要な線」で、CTシミュレーション時に描いています。
黒色の線は「実際に放射線を当てる位置を示す線」で、こちらは初回の治療時に描いています。

Q24. IMRT、VMAT、通常照射の特徴を教えてください。

  IMRT VMAT 通常照射
治療費用

△高い

特殊な装置を使用し、治療計画や計画検証が複雑で時間を要する事から高くなっています

○安い

比較的診療報酬(保険点数)が低く設定されているため治療費用が安くなります
治療開始までに要する時間

△長い

治療計画や計画検証が複雑で時間を要するため、開始まで1週間程度かかります

○短い

治療計画用CT撮影後、2~3日程度で放射線治療を開始できます
治療時間

△長い

治療計画が複雑なため、治療に要する時間も長くなります


○短い

IMRTより短い時間で照射することが可能ですが、通常照射と比べると治療時間が長くなります

○非常に短い

痛みなどが強い場合など、長時間同じ体位を維持することが困難な患者さんに適しています


周辺臓器への
影響

◎少なくできる
CTの違いを教えてください

放射線の強度を変えながら正常臓器を避けるように照射するため、治療部位に高線量を集中させることが可能です

△IMRTより多い
CTの違いを教えてください

放射線の強度が一定のまま照射するため、治療部位の周辺にある臓器にも影響が出やすくなります
線量集中度

◎非常に高い

治療部位のみに線量を集中させることにより、より高線量を与えることができます

△低い

IMRT・VMATと比べると線量集中度は低下します

→ 詳しくは治療開始前の看護師面談で説明させて頂きますが、ご質問があればいつでも治療センタースタッフまでお尋ねください。

Q25. IMRTやVMATの照射方法や特徴を教えてください。

→ この回答の詳細は、「放射線治療装置について」または、「専門用語一覧」でご説明させていただいておりますのでご参照ください。

Q26. ガンマナイフ治療について教えてください。

→ Q25に同じく、この回答の詳細は、「放射線治療装置について」または「専門用語一覧」にて解説しています。そちらをご参照ください。

Q27. 治療が終わっても、放射線が周囲に残っていることはないのですか?

→ 放射線が発生しているのは「治療をしている時」もしくは「画像を撮影している時」のみです。治療装置に高電圧負荷をかけている時に放射線は発生しているので、治療が終わった時点(=高電圧負荷を止めた状態)で放射線が周囲に残っている、ということはありません。

Q28. 治療中に使用する放射線と、レントゲンやCTで使用する放射線の違いはなんですか?

→ どちらも同じ「X線」ですが、放射線治療に用いる放射線はレントゲン撮影やCT撮影で使用する放射線よりも高いエネルギーです。また、治療部位によっては「電子線」という放射線を使用する場合もあります。

Q29. 治療が終わりましたが、体に描いた線は消えますか?

→ 体に描いた線は2週間ほど時間をかけて消失していきます。その間、肌を強く擦って線を消すような行為は避けてください。放射線治療の影響は治療終了後もしばらく続いているので、肌を強く擦ってしますと皮膚が傷つき、出血や感染等の原因にも繋がります。

Q30. 尿量は多いほど良いのですか?≪前立腺治療の場合にのみ適応≫

→ 多いほど良いというわけではありません。尿をため過ぎると尿意を我慢しようとして、おしりに力が入り、治療計画用CT時の体勢が完全に再現できない場合があります。治療計画CT時と同じ膀胱の大きさとなるような尿量を、無理のない範囲でためいただくことが、治療精度において大切です。

Q31. 便やガスは治療中、どのように影響してくるのですか?
               ≪前立腺治療の場合にのみ適応≫

→ 直腸(主に前立腺の後方部)に便やガスが存在すると、下の図のように治療部位(前立腺+精嚢基部)が照射範囲から押し出されてしまいます。このままの状態では照射ができないため、ガス抜き処置や排便が必要となります。

黄色が直腸、桃色が前立腺+精嚢基部、赤色が治療部位です。
Q18.	IGRTの6軸の位置補正
▼この画像では直腸にガス(黒部分)が溜まっているのが分かります。
ガスにより膨らんだ直腸の影響で前立腺が変形し、直腸が治療部位に入り込んでいるため、このままでは照射することができません。
前立腺治療の場合

社会医療法人きつこう会多根総合病院

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